2012年2月13日


新日本製鉄株式会社 君津製鉄所見学


今回,訪問したのは千葉県君津市にある「新日本製鐵 君津製鐵所」である.
JR君津駅からタクシーに乗って,約15分の所にあり,
東京湾沿岸沿いに位置するこの製鐵所は,埋め立て地に建設された工場である.
東京ドーム約220個分という広大な敷地を有するという.

工場内のレイアウトとして,君津製鐵所は4つのエリアに分けられる.
@製銑エリア:鉄鉱石・石炭などの製銑原料を荷役・貯蔵する原料岸壁・ヤードと
 それらの原料から銑鉄を製造するエリア
A製鋼エリア:銑鉄から鋼を製造するエリア
B熱間エリア:薄板、厚板、線材、形鋼を製造するエリア
C冷間エリア:めっき鋼板や鋼管を製造するエリア
となっている.

今回,見学コースとなった箇所は,

  プラスチックリサイクル設備
  ↓
  第四高炉(但し,中には入らず外からの見学)
  ↓
  厚板工場
  ↓
  郷土の森

であった.

まず,最初に訪れたプラスチックリサイクル設備では,
私たちがよく利用するポリ袋やペットボトル,カップ類が自治体によってこの設備に搬送される.
その後,2段階に分けて機械で粉々に破砕し,減容成形することで造粒物へと処理される.
続いて,造粒物は石炭や鉄鉱石等の原料と複合され,鉄鋼製品へと形を変えてゆく.
また,この工場は高いエネルギー効率を実現するために製造工程であらゆるエコに取り組んでいる.
例えば,高炉では,鉄鋼の生産と同時に副産物である高炉ガスが排出されるが,
このガスを製鉄所内にある発電所のエネルギー源として,100%有効活用している.
他にも水資源については,製品や製造設備の冷却や洗浄に使用する水を90%以上循環使用している.
この活用は工場が建てられた当時からずっと続いているという.
次に厚板工場では数千度の温度を持つ厚板が機械によって,
圧延される過程を50m程離れた所から見学した.
夏場に見学したというのもあるかもしれないが,厚板から発される熱量は尋常ではなく,
肌の上から体の芯まで凄まじい程の熱風を数分間浴びさせられた.工場を出たあとは,
外気温が30度を越えていたにも関わらず,見学者全員が涼しいと言っていた事が頭に残っている.
圧延は,最大板厚200mm,長さ50mと信じられない比率の熱さと長さで行われ,全く形を崩さないという.
これは,加工精度も関連してくるので,作業員が毎日のようにメンテナンスをしているようだ.
それくらいでないと,商品化できないという危惧感はあるに違いない.
最後に回ったのは「郷土の森」であるが,工場内はメカメカしい所ばかりではなく,
緑を意識して多くの森や花畑が敷地の淵に植えられている.
これは1965年の設立当時から,環境に取り組んでいたことのようだ.
植物の伐採や公害による森林の減少で自体は80年代からと言われているが,
それに先立ち,君津製鐵所は自然に溢れる場所を作り上げてきた.
この精神は,技術者倫理に則っているものであり,
将来,技術職に就きたいと思われる部員達にとっても良い見本となったと思う.

スケール,企業思想,日本の鉄鋼業界における立ち位置など,
機械科の学生にとっても普段,感じる事が出来ない経験をこの1度の工場見学から多く得られた.
また,今回の君津製鐵所のコースは,ほんの一部ということなので別のコースを回るべく,
再度赴きたいと思った.



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